老後のお金が不安な50〜60代へ。私が不安を減らすためにやった5つのこと
子どもが成長すると、自分の老後のことを考えます。そのとき真っ先に浮かんでくるのが、老後のお金の不安でした。
考えはじめると、夜中に目が覚めてしまう。そんな時期もありました。
私は60代です。40代の後半から、子ども2人を育てるために働きつづけてきました。その途中で大きな病気をして、離婚もしました。気がついたら、貯金はほとんどありませんでした。
その私が、いまは少しずつお金が貯まってきています。大きな額ではありません。人に自慢できるような金額ではまったくありません。それでも「増えている」とわかるようになってから、不安の形が変わりました。
この記事では、金額の大きさではなく、私が不安を減らすためにやった5つのことをお伝えします。どれも、60代の私ができたことです。
老後のお金が不安なのは、あなただけではありません
50代・60代の多くが同じ不安を抱えています
老後のお金の話は、人に相談しにくいものです。友人に「貯金いくらある?」とは聞けません。だから、自分だけが遅れているような気持ちになります。
でも実際には、同じ年代の多くの人が同じ不安を抱えています。年金だけでは足りないと感じている人。65歳で仕事の契約が切れたあとが見えていない人。口に出していないだけです。
私も60代になるまで、貯金はありませんでした
正直に書きます。私には貯金がありませんでした。
40代の後半から、生活のために働きました。子ども2人を育てながらでしたので、入ったお金はそのまま出ていきました。その間に大きな病気もしました。離婚もしました。貯めるという段階まで行けないまま、年齢だけが上がっていきました。
いま同じ場所にいる方に伝えたいのは、そこからでも動けるということです。
不安が消えないのは「金額がわからない」からです
あとから気づいたことがあります。
私を苦しめていたのは、お金がないことそのものではありませんでした。いくら足りないのかを知らなかったことでした。
わからないものは、頭の中でどんどん大きくなります。「このままだと生活できなくなる」という形のないまま、夜中に出てきます。金額がはっきりすれば、それは「困った状況」から「足りない分をどうするか」という課題に変わります。課題になれば、手が打てます。
私が老後のお金の不安を減らすためにやった5つのこと
先に全体像をお見せします。
- まず「いくら足りないか」を紙に書き出した
- 減らせる支出を、欲ばらずに見直した
- お金の仕組みを勉強した(簿記3級・FP3級)
- 怖いと思っていた投資を、小さく始めた
- 働き方を少しずつ変えた
ひとつ正直に書いておきます。私はこの5つを、きれいな順番どおりに進めたわけではありません。投資を始めたのが4年前、簿記3級が2年前、FP3級は今年です。やりながら勉強し、勉強しながらまたやる、の繰り返しでした。
ですので、1番から順にやらなければいけない、ということはありません。できそうなものから手をつけて大丈夫です。今日やることは、1つだけで十分です。
やったこと1|まず「いくら足りないか」を紙に書き出しました
年金の見込み額を調べる方法
最初にやったのは、自分がもらえる年金の額を知ることでした。
毎年、誕生月に届く「ねんきん定期便」に書かれています。50歳以上の方には、いまの働き方を続けた場合の見込み額が載っています。封を切らずに置いてある方は、探してみてください。私もそれまで、ほとんど見ていませんでした。
ねんきんネットという国の無料サービスでも確認できます。パソコンやスマホから見られます。
毎月の生活費を出す。細かくしなくていい理由
次に、ひと月に使っている金額を出しました。
ここで完璧にやろうとすると続きません。1円単位で合わせる必要はありません。家賃や住宅費、食費、水道光熱費、通信費、保険、そのほか。この程度のざっくりした分け方で大丈夫です。
私は通帳とカードの明細を見ながら、紙に書き出しました。もともと家計の管理はしていましたし、ねんきん定期便も見ていたので、時間はかかりませんでした。材料はすでに手元にあったのです。足りなかったのは、それを引き算してみることだけでした。
私の場合、足りない額は月3万9千円でした
年金の見込み額から生活費を引きます。これが足りない額です。
私の場合、63歳の時点では月3万9千円足りませんでした。65歳まで働けた場合は、2万9千円まで減ります。
この数字を見たとき、私は「なんとかできる金額ではないか」と思いました。想像していたより小さかったのです。頭の中で膨らんでいた不安と、実際の数字は違いました。
数字が見えると、不安は「課題」に変わります
金額がわかると、次に考えることが決まります。「この3万9千円を、収入を増やして埋めるのか、支出を減らして埋めるのか、それとも両方なのか」。
考える対象があると、人は落ち着きます。
やったこと2|減らせる支出を、欲ばらずに見直しました
いきなり全部やると続きません
節約の記事を読むと、たくさんの項目が並んでいます。私も一度、全部やろうとして失敗しました。1週間で疲れて、やめました。
ですので、欲ばらないことにしました。手をつけたのは、家賃と保険の2つだけです。
ひとつめ|家賃を交渉して、月2千円下げてもらいました
別居することになって探した部屋でしたが、住んでみるとカビの発生がひどく、とても普通の状態とは言えませんでした。
お金の勉強をしているなかで、家賃は交渉してみるものだと知っていました。言われた額を黙って払うものだと思い込んでいたので、これは私にとって大きな発見でした。
それで、思いきって交渉しました。断られたらそれまで、という気持ちでした。結果、月2千円下げてもらえました。
ふたつめ|必要のない保険を解約して、月3千円減りました
解約してよいと判断できたのには、理由があります。
まず、仕事で健康保険に入っています。そして子ども2人はすでに社会人になり、私に何かあっても生活に困る人がいなくなりました。保障の中身を見直したら、いまの自分には必要のないものでした。
保険は、一度入ると入りっぱなしになりがちです。でも、家族の形が変われば、必要な保障も変わります。
月5千円浮いたお金を、どこに回したか
合わせて月5千円です。小さい額です。
ただ、この浮いたお金には大事な役目がありました。生活費に混ぜてしまうと消えてしまいます。私は別にして、あとで書く投資に回しました。毎月同じ額が自動で動くようにしておくと、意志の力を使わずに済みます。
やったこと3|お金の仕組みを勉強しました(簿記3級・FP3級)
60代から勉強して、合格までにかかった月数
簿記3級を取ったのは2年前です。投資に興味が出てきて、お金の流れを自分で読めるようになりたいと思ったのがきっかけでした。6か月かかりました。1日3時間ほどです。正直に言って、難しかったです。
ファイナンシャル・プランナー3級(FP3級/年金や保険、税金など、お金の全体を扱う資格)は今年取りました。こちらは家計の管理を極めたくて始めて、3か月でした。
若いころのようには頭に入りません。同じところを何度も読み返しました。それでも受かりました。
6か月と聞くと長いと思われるかもしれません。でも、60代の私たちにとって6か月は、何もしなければただ過ぎていく時間です。その6か月を使って、私は一生使える知識を手に入れました。
資格そのものより役に立ったこと
資格を取ったから収入が増えた、ということはありません。ここは正直に書きます。
役に立ったのは中身です。簿記ではお金の出入りの記録の仕方を、FP3級では年金、保険、税金、投資の基本をひととおり学びました。
いちばん効いたのは、世の中のお金の話が自分の言葉で読めるようになったことです。それまで私は、銀行や保険の窓口で言われたことを、よくわからないまま聞いていました。
自分の老後の数字が、自分で読めるようになりました
やったこと1で出した自分の数字を、勉強したあとにもう一度見直しました。今度は、その数字の意味がわかりました。
人に判断してもらうのではなく、自分で判断できる。この感覚が、不安をいちばん減らしてくれたと思っています。
やったこと4|怖いと思っていた投資を、小さく始めました
なぜ貯金だけでは不安が消えなかったのか
私は投資が怖かったです。損をする話ばかり聞いていましたし、自分には縁のないものだと思っていました。
それでも始めたのは、足りない額を自分の目で見てしまったからです。いまの貯金のペースでは届かない、とわかってしまいました。
私が月5千円から始めた理由
始めたのは月5千円です。NISA(運用で増えた分に税金がかからない、国の仕組み)を使っています。NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあります。どちらの枠でも、毎月決まった額を自動で買っていく「積み立て」ができます。「積み立ては、つみたて投資枠だけ」と思われがちですが、成長投資枠でも積み立てができます。私が使っているのは、成長投資枠です。
5千円にしたのは、なくなっても生活が壊れない額だったからです。いきなり大きな額を入れていたら、値段が下がったときに耐えられなかったと思います。
勉強はYouTubeでしました。本を1冊読むより、同じ話を何度も繰り返し聞けるほうが私には合っていました。無料ですし、わからなければ止めて、巻き戻せます。
いまは月4万円まで増やしました。最初の5千円から、4年かけてここまで来ました。大きな額ではありません。ただ、始めることと、大きく始めることは別です。
始める前に消しておいた3つの怖さ
私は次の3つを自分の中で片づけてから始めました。
1つめ、生活費には手をつけないこと。 なくなったら困るお金は入れない、と決めました。
2つめ、仕組みを理解してから入れること。 何に預けているのか自分で説明できないものは買わない、と決めました。FP3級の勉強がここで役に立ちました。
3つめ、短期で増やそうとしないこと。 数か月で結果を見ようとすると、下がったときに耐えられません。
4年続けて、資産は少しずつ増えています
途中で下がった時期もありました。ただ、私はそれほど気になりませんでした。
私が積み立てているのは投資信託(たくさんの会社の株をまとめた商品)です。勉強しているときに、ドルコスト平均法という考え方を知りました。毎月決まった額を買い続けると、値段が高いときは少なく、安いときは多く買えることになり、買う値段が自然にならされていく、という仕組みです。
これを先に知っていたおかげで、下がった月を「損をした月」ではなく「多めに買えた月」と受け取れました。知っているかどうかだけの違いです。
最近は、日本の高配当株(配当金を多く出す会社の株)も、少しずつ勉強しながら買っています。こちらはまだ始めたばかりです。
ここでひとつお伝えしておきます。この記事では、具体的にどの商品を買ったかは書きません。人によって家族の状況も、使えるお金も、どれくらい待てるかも違うからです。私が言えるのは「私はこう考えて、こう動いた」というところまでです。選ぶときは、ご自身で調べて、ご自身で決めてください。
やったこと5|働き方を少しずつ変えました
体がきつい仕事を70歳まで続けるのは難しいと感じました
私はいまの仕事を13年続けています。続けてこられたことは、自分でも誇りに思っています。
ただ、年齢とともに体の負担は増えます。この働き方のまま70歳、75歳まで行けるかと考えたとき、難しいと感じました。
家でできる仕事を覚えるために、やったこと
そこで、家でできる仕事を覚えることにしました。もともと本業で、文章を作って入力する仕事をしてきました。そこを活かせないかと考えたのです。
まず、自分用のパソコンを買いました。それまでは家族と共用で、自分の作業の時間が取れませんでした。これは思いきってよかったです。
そのあと、この人から学びたいと思える方のライティングスクールに入りました。費用は15万円、期間は3か月です。教わったのは、文章の書き方と、パソコンの道具(ITツール)の使い方でした。
正直に言うと、課題をこなすのに必死でした。3か月のあいだ、ついていくだけで精一杯だったというのが本当のところです。
それでも、独学だったら途中で止まっていたと思います。期限のある課題が出るから手が動きましたし、わからないところを聞ける相手がいました。15万円は私にとって大きな額でしたが、3か月で形になったことを考えると、時間を買ったという感覚です。
収入の柱を1本から2本にする意味
いま私は、本業とWebライターの副業で2本になりました。副業の収入はまだ小さいです。
それでも、1本きりではなくなったことの意味は大きいです。65歳で契約が切れたら終わり、という状態から抜けられます。
4年たって、不安はどう変わったか
なくなったわけではありません
はっきり書いておきます。老後のお金の不安は、消えていません。
資産は十分ではありません。これから病気をするかもしれません。不安がゼロになる日は来ないのだろうと思っています。
それでも眠れるようになった理由
変わったのは、不安の形です。
以前は「このままだとどうなるんだろう」という、形のないものでした。いまは「あと3万9千円足りないから、この方法で埋めていく」という、見える課題になりました。形があるものは、夜中に襲ってきません。
増えた額より「増えている」とわかることが効きました
4年で増えた額は、大きなものではありません。
それでも、見るたびに前より増えています。この向きがわかることが、金額よりも効きました。下を向いていたものが、上を向いた。それだけで、同じ生活なのに気持ちが違います。
老後のお金が不安な人によくある質問
貯金ゼロの60代でも間に合いますか
「間に合う」の意味によります。働かなくても暮らせる額を今から作る、という意味なら、正直に言って難しいです。
ただ、いまより不安を減らすという意味なら、間に合います。私がそうでした。足りない額を知る、支出を見直す、収入の柱を増やす。これは何歳からでもできます。
いくらから始めればいいですか
なくなっても生活が壊れない額です。それがいくらかは、人によって違います。
私は月5千円から始めました。少なすぎると思われるかもしれませんが、続いたことがいちばん大きかったです。いまは月4万円まで増えました。
投資は損をするのが怖いのですが
その怖さは正しいものです。消す必要はありません。
私は怖さを消すのではなく、怖くても大丈夫な形にしました。生活費には手をつけない、わからないものは買わない、短期で見ない。この3つです。
何から手をつければいいかわからないときは
やったこと1だけで大丈夫です。紙とペンで、年金の見込み額と、ひと月の生活費を書き出すだけです。
お金は1円も動きません。それでも、終わったときには今日より不安が小さくなっているはずです。
まとめ|不安は一度には消えません。ひとつずつ減らせます
私がやった5つのことを、もう一度並べます。
- いくら足りないかを紙に書き出す
- 減らせる支出を、欲ばらずに見直す
- お金の仕組みを勉強する
- 怖いと思っていた投資を、小さく始める
- 働き方を少しずつ変える
貯金ゼロ、離婚、子ども2人。そこから始めた私にできたことです。
今日やることは、ひとつだけで十分です。ねんきん定期便を探して、自分の見込み額を見てみてください。 それが、私の不安が小さくなり始めた場所でした。